昔からとにかく他人のブログを読むのがすきな人間だったので、このHPのブログをもっと気さくにくだらなく使いたいという強い意志がある。一方でいま自分の中で「なるべく作品以外の場で語りすぎないほうがかっこいいのではないかブーム」も来ており、clubhouseやスペース機能や質問募集を意地でも使わないぞ!リプライも全部見ない設定にする!と奮闘しており、気さくさとかっこよさ(本物っぽさ?)(“本物”って、な~に)のはざまでひとり眉間にしわを寄せている。ブログ書くならエッセイにしたほうがよくない?みたいなこころの声もある。わたしはインターネットユーザーではなく作家なのだから、もっとちゃんとしたほうがいいのではないかみたいなことである(“ちゃんと”って、な~に)。

 

東京から帰ってきて1週間ほど、緊急事態宣言地域の滞在があったということもあり、リモートワークをしながら徹底的に自宅に引きこもっていた。未読の応援メッセージを未読のままにし、ラジオや音楽を聴いてすべてのニュースから己を遠ざけ、とにかくワシワシ料理をし、会社の仕事をし、犬を撫で、雀のさえずりを聞き、お茶とアイスコーヒーをがぶがぶ飲んで、早めに寝て早めに起きた。丁寧な暮らしというより老後生活のよう。

東京では数日にして3キロ痩せた。ふと鏡を見ると目つきがでんじゃらすじ~さんのようになり、ほっとして笑うといっしょに涙も出て止まらなかった。わたしは自分自身のことをけっこうタフで心臓が毛むくじゃらだと思っていたのだが、芥川賞の選考会ともなると、さすがに参るもんだなあと感心する。講談社がこんなにおおきいと思わなかった、と言うと、彼氏と友人は「あたりまえだろ」と爆笑してくれた。(体重は翌週料理をしまくり食べまくったらすぐに戻ってしまった)

ずっとメールとZOOMでしかやりとりをしてこなかった担当さんとようやくお会いできたのが何よりうれしいことだった。担当編集と、わ~!ほんものだ~!と言い合って笑った。すっかり忘れていたがわたしは会いたい人に今会うべきと思ったら、明日や明後日のことあんまり考えずにすぐに高速バスに乗っちゃうような人なんだった。そういうことを思い出せてよかった。

 

きょうは数週間ぶりに出社して、ババババ!と仕事をした。さすがに前日は仕事行きたくないな……と思ったが、いざ出社すると(わあ、仕事たのし~)と思うのだった。いざ出勤するとなんとかなる。出勤とはそういうものだ。くどう、完全復活――と思う。

 

帰りに文房具屋さんでLIFEの小さなノートと、そのノートに差し込めるちっちゃいボールペンを買った。ひさしぶりに、メモをアナログで取るのもいいかもしれないなと思い立った。高校の時は文芸部で常にネタを探していたから、生徒手帳に様々メモしていた。メモ欄が足りなくなったら校歌のページの1番と2番の歌詞の余白に書いて、それも埋まったからLIFEのいちばん小さなノートを買って、それに生徒手帳のカバーをかけて持ち歩いていた。ものぐさだから、書きたいときに限ってメモを持っていなかったり、どこに何を書いたんだかぜんぜん覚えていないこともたくさんあった。でも、「なんか書いた気がする」ってことは後々ひっぱりだされるように思い出せたりする。

いま、人生が次の章に突入してきた感じがあって、毎日いつも以上にさまざまな気づきがある。まずは選考会前後に様々なことがあったわけで、そのことを忘れてしまう前に書き連ねたい。はっとして、それを書いたり、書こうとしたのに忘れたりしながら夏の後半戦を過ごそう。それでノートを買った。高校の時よりは大きいLIFEのマス目のリングノート。そのリングにすっぽりはまる、小さくて細い銀色のボールペン。なんでもかんでも「あっいまの書きたい」と思ってしまうことがどうしようもなくダサいし、書くためにわたしのかなしさやくるしさがあるんじゃないってじたばた暴れたくなるような日もあるけど、そうじゃなくて、もっとシンプルに「書きたい!」と思う日のほうがやっぱり圧倒的に多い。だからもうしばらくは書くんだと思う。

 

本当に長くて短い7月。しかも暑い。夏の暑さに毎年びっくりしている気がするけど、毎年暑さが更新されているんだからそれもそっか。まさかこんなことに、って、17歳くらいから夏になると毎年言っているような気がする。忙しい人生。わたしは夏になるとどうしたって高校時代の自分のことを考える。性懲りもなく思い返しているので、昔からの読者は「あ~また始まった」と思っているだろう。わたしは制服でプールに飛び込んだ自分のことを、永遠に思い出して、書き続けるんだと思う。ぼけたらずっとその話をするおばあちゃんになりたいから、いまのうちから繰り返し言っておこうと思う。プールに飛び込んだあの日に、わたしの人生が決まったような気がしたって話を。

何度でも夏がわたしを繰り返す。木立に過去の夏の残像を見ながら、今年の夏のすいかを切る。きんきんに冷やした、でっかいでっかいすいかをね。

 

 

2021年7月27日 くどうれいん