あけましたね、とっくにね。年末に1年の総括をしたり、年始に1年の抱負を書き留めたりと思ったりもしましたが結局Instagramで簡単に済ませました。

くどうれいん(@0inkud0) • Instagram写真と動画

大晦日のあの、みんなそわそわして、いつも通りあしたが来るのにまるでもうきょうで死んじゃうみたいに各方位に感謝し始めるのが結構好きで、いろんなひとがいろんな風に1年を振り返るのをぼーっとスクロールして見ていた。年末は両親と一緒に八甲田に泊まりに行って、猛吹雪の中でおいしいお酒とステーキを食べましたとさ。

 

抱負を言ったところでぜんぜん忘れながら暮らしてしまうわたしなので、常に心掛けていることをことしも心がけようということで書初めをした。

ついでに好きな言葉も書いた。

水戸黄門でご老公が言うやつである。このころにはほぼ全部の悪党が打ちのめされていて、わたしはいつも(そのへんって言っときながら全員倒してんじゃん)と思っていた。そういう、ほぼ倒れてるのに「そのへんにしておけ」と言ってのける感じが、そのへんにしておかなかったらどうなっちゃうわけ?という末恐ろしさを感じてすきなのだ。末恐ろしい人間になりたいのかもしれない。わたしはあまりにもすぐに底が見えてしまう人間な気がしていて、それはちょっと恥ずかしい。しんじゃったおじいちゃんと一緒に、小学生の頃はほぼ毎日水戸黄門を見ていた。思うにあれば最初に町娘などの女の人が「やめておくんなまし~」と言いながらひどい目に遭うところがちょっとえっちだったから人気があったんじゃないか。と、病院の待合室でこの間久々に見てそう思った。「やだ、やめてください、だれか、だれか~」の声が思った以上に艶っぽかったのだ。「だれか、だれか~ァん♡」に聞こえて、わたしはこんなにセクシーなものを毎日見ていたのだろうか。水戸黄門は老人向けのウルトラマンだと思っていたのに、もしかしたら老人向けのエロ番組だったのかもしれない。だとしたらおじいちゃん。と思う28歳の冬である。

 

この頃は、書きたい!と思うときの馬力がもうずいぶんなくなっていて、どうやって(か、書きてぇ~)と思うまで薪をくべるかの勝負になってきている気がする。見てろよこんにゃろ、と思ったり、あいつめ~!と思っていたのが、その戦う相手が過去の自分の作品だったりしている。もっと自分をほめたり納得したり、超いい文章なのでは?と興奮するようなことをしたいのだけれど、何を書いても(これでいいのだろうか)と思ってしまうのが続いていて、だから読者の方から版元経由で届く手紙に(これでいいです!)と言ってもらってげんきだして書いています。もっと淡々と仕事として書けるものだと思っていたんだけど、どれだけメールと打ち合わせが淡々としても、あとの時間は唸ったりのたうち回ったりしてばかりで、しかも自分でどうにかするしかなくて孤独で、世の中の個人事業主の全員をほんとうに尊敬している状態。働く、それを続ける。それって本当に大仕事。でもそれは、作家だからってことじゃなくて、どんなお仕事でも働いてそれを続けている人は本当にえらい、すごいことだよねえみんな。会社にいたって自分でどうにかするしかないのはおんなじだったはずなのに、どうしてこうも孤独だと思ってしまうんだろう。前の会社で一緒に仕事をしていたひとたちがたまに会ってくれるのと、担当編集さんがとても言葉を尽くしてわたしの原稿を喜んでくれていて、それでどうにかきもちをふっくらさせている。東京フレンドパークの、大きな恐竜に向かって制限時間内に空気入れをしゅこしゅこやるやつあったじゃないですか。あれをずっとやっているみたいなかんじ。空気を入れては、向こうからやってくるひかりを踏むためにジャンプする。

こういうの書きながら、ああこれ原稿にしたほうがよかったかな、みたいにちょっとでも思ってしまう瞬間がほんとうにいや。ブログは、日記は、もっと自由でなくちゃ。

 

今年はたくさん連載が始まるし、本も出すつもりです。ついてきてね。東京など岩手県外でたくさん読者の皆さんと会える機会もあるはず。体力つけなきゃ。

 

クリスマスは手塚とポテトを食べまくったり

三島でコロッケを食べたり

スナックを開催してたくさんの読者さんといい夜を過ごしたりしました。

 

年始にお年賀でボタンの薄田さんから福島のぐっとくるお菓子をいくつかいただいて、その中でもパン・洋菓子・喫茶 オジマの洋菓子が本当にすばらしかった。

 

“手作り本物の味”

クッキー

 

それが本当に<クッキー!>という味で、余計なものの一切ない、ものすごい説得力のあるおいしいクッキーだったのだ。本物の味と言い切れるかっこよさと、本当に本物の味としか言いようのないおいしさにしばししびれてしまい、ご利益がありそうだったのでその日の数時間頬に貼って過ごした。

わたしもはやく本物の味になりたい。

 

また書くよ。

1月21日 くどうれいん